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DJ-【コラム】インドが目指す製造ハブ、中国への開放がカギ

Dow Jones · 11/16/2022 02:09

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 インドは、国境をはじめとするいくつかの問題について、中国と意見が対立している。しかし、電子機器製造の中心地になるには、時に敵対する隣国の支援が必要な場合もあることに気づきつつあるかもしれない。

 印シンクタンクの国立応用経済研究所(NCAER)は今月、業界団体「インド工業連盟(CII)」向けの報告書で、インドが2026年3月期までに電子機器産業を3000億ドル(約42兆円)規模に拡大するという高い目標を達成したいのなら、中国からの投資を認めるルールを緩和すべきだと提言した。

 印商工省産業国内取引促進局は2020年、インドと陸上国境を接している国からの外国直接投資について、業界別の上限とは関係なく、政府から事前承認を得ることを義務付けた。これは、新型コロナウイルス流行時に略奪的な外国投資を防ぐことが狙いだった。インドはここ1年、中国の複数のスマートフォンメーカーを脱税の疑いで取り締まってもいる。

 しかし、多くの企業が「チャイナ・プラスワン」政策を掲げ、中国依存からの脱却を目指して調達先の多様化を図っているものの、インド工業連盟の最新の提言は、世界のサプライチェーンにおける中国の重要性を浮き彫りにしている。電子機器メーカーは過去20年にわたり、中国に深いサプライチェーンを構築してきた。電子部品を大規模で生産する技術的ノウハウと能力を国内メーカーに再現させるのは、特にインドではリソースに制約があるため、難しい可能性がある。インドには大規模な部品製造に携わる企業はほとんどない。

 カウンターポイントの調査によると、インドのスマートフォンのエコシステムにおける現地調達部品は約14~15%だ。残りは輸入に頼っており、その約5分の4は中国から輸入している。

 インドがここ数年で飛躍的な進歩を遂げたのは確かだ。米中関係の冷え込みやコロナによってサプライチェーン集中化のリスクが浮き彫りになる中、インドは政府の奨励策だけでなく、安価な労働力や英語を話す人材の多さ、巨大な国内市場を助けに電子機器製造を大きく前進させた。

 インドの電子機器製造は近年、一部が組み立てられたコンポーネントを輸入して現地で完成させる「セミノックダウン」方式から、全てを現地で組み立てる「コンプリートノックダウン」方式へと移行した。現在、充電器やケーブル、バッテリーモジュール、その他の試験・パッケージング用組み立て部品は国内で生産可能だ。しかし、高品質のディスプレーや半導体のような高価値の部品を大規模に生産するには、まだ長い道のりがある。

 NCAERのデータによると、インドの電子製品の国内製造額は、2016年3月期の370億ドルから2021年度には747億ドルに増加した。また、アップルやサムスン、小米(シャオミ)などのメーカーの後押しを受け、スマートフォンの生産は中国に次いで2位となっている。最終的には、国内消費向けの生産者から世界の需要を満たす存在へと移行し、スマホだけでなくノートパソコンやタブレットなどの機器の生産も手掛けることを目指している。

 調査会社IDCのアナリスト、ナブケンダル・シン氏は、インドが全工程を手掛けるエンドツーエンドの製造拠点として世界の舞台に一刻も早く上がれるようにするには、中国の相手先ブランドによる設計・製造(ODM)メーカーを活用する必要があると考えている。調査会社カナリスのアナリスト、サンヤム・チャウラシア氏は、インドは台湾や韓国、ベトナムなどのさまざまな市場のサプライチェーンエコシステムの外国企業が、この業界への投資を多様化するよう促すべきだとも指摘する。インドのエコノミック・タイムズ紙は、複数の情報筋の話を引用し、現地企業と提携して国内に製造部門を設立することを条件に、政府は中国企業のハイテク電子機器業界への参入を認める可能性があると報じた。

 インドが中国やベトナムと競争したいのであれば、健全な部品エコシステムが電子機器製造の要になる。中国との地政学的な緊張は、インドが電子機器製造で世界的な勢力になる道を阻害している可能性がある。インドの電子機器製造は現在、携帯電話の組み立てを中心としたものにとどまっている。妥協を検討する価値はある。