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DJ-【焦点】米テク大手、人員削減でオフィスも「断捨離」

Dow Jones · 11/15/2022 20:58

 米国のオフィスビル需要を長年押し上げてきたハイテク大手が一転して、リース契約の打ち切りに動いている。

 フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズや配車サービスのリフト、顧客情報管理のセールフォースといったハイテク大手は、サンフランシスコやシリコンバレー、ニューヨーク、テキサス州オースティンなどでオフィス空間を大きく削っている。ネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは7月、新規オフィスビルの建設を中止した。同社は採用を凍結しているほか、数千人規模の削減を視野に入れる。

 景気後退の足音が近づく中、こうした企業は人員整理に乗り出しており、不要になったオフィス空間を放出することが喫緊の課題となっている。

 商業不動産サービス会社のCBREグループによると、テクノロジー業界がサブリース(転貸)市場に出しているオフィス空間は約3000万平方フィート(約280万平方メートル)にのぼる。これは2019年10-12月期の950万平方フィートからは約3倍の規模だ。

 スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授(経済学)は「自宅勤務よりも、規模縮小の方が脅威としては大きい」と話す。

 全米のオフィス空き室率は11年以来の高水準となる12.5%で、19年の9.6%から大きく上昇している。データ会社コースター・グループが分析した。サブリース市場に出回っているオフィス空間は約2億1200万平方フィートと、データの収集を開始した05年以降で最大だという。

 足元の逆回転も広範囲に及んでいる。背景には、ハイテク業界がピッツバーグやバルティモア、ナッシュビル、サンディエゴ、デトロイトといった多くの都市で、オフィス需要を支えてきたことがある。

 中でも最も大きな打撃を受けているのがサンフランシスコだ。7-9月期のオフィス賃貸面積は85万平方フィートで、新型コロナウイルス流行までの5年間の平均である四半期当たり約200万平方フィートから大きく落ち込んでいる。商業不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナルのサンフランシスコ分析責任者、デレク・ダニエルズ氏が明らかにした。

 サンフランシスコで最大級の雇用主であるセールスフォースは今年、同市のビジネス街に所有する43階建ての高層ビルに同社が占有するオフィススペースの約30%を削減することを検討していると述べた。

 ハイテク企業は長らく、新設ビルで最も大きな存在感を発揮していたが、こうした流れも終わりを迎えている。コロナ禍でオフィスと自宅を合わせたハイブリッド勤務形態へと移行する中でも、ハイテク企業は積極的な採用を進めていたため、オフィスの賃貸契約を維持していた。

 またハイテク業界では、優秀な人材を引き寄せることを狙って高級物件を好む傾向があり、新規ビルの家賃を押し上げてきた経緯がある。

 CBREのテック・インサイツ・センターのエグゼクティブディレクター、コリン・ヤスコウチ氏は、ハイテク企業は昨年、引き締まりが鮮明な労働市場で、人材の確保と引き留めのために「オフィス物件のアップグレードを目指していた」と話す。コロナ流行時に数万人の雇用を増やしており、「最悪のシナリオとして、オフィスに戻った時に十分なスペースを確保できないことが懸念されていた」という。